中学生のための読書案内

中学生のための読書の案内です。

物語の世界にひたる本

●やまびこのうた
笹山久三(河出書房新社)
勝ち気で率直な三年生のサチ。優しいが性格に弱いところもある五年生のテツオ。みんなを導くリーダーの兄やん。春のイタドリ取り、夏の底なし淵を渡る試練など四季折々の自然の変化と事件のなかで、成長していく子供たちをあたたかく描く物語。
●うそつきの天才
ウルフ = スタルク 菱木晃子:訳(小峰書店)
うそつきの「僕」が、ついたうそがもとで家出をする「うそつきの天才」。作文の時間に繰り広げられるヨーランと「僕」の熾烈な競争「シェークvs. バナナ・スプリット」。
スウェーデンの人気児童文学作家の小気味よく楽しい自伝的な短編2作品を収める。
●夏の庭 The Friends 
湯本香樹実(新潮文庫・徳間書店)
「ぼく」と山下と河辺は毎日ブロック塀にはりついてその家をのぞいている。「死」に対する好奇心から、その家に住む、生ける屍のような老人が死ぬのを見届けるために。主人公の3少年と老人との「忘れたくない」夏の日々を鮮やかに描く。
●はだかのサイ 
ミヒャエル = エンデ 矢川澄子:訳(岩波書店)
大平原の動物たちが手を焼く乱暴者のサイ、ノルベルト。動物たちを追い出して支配者気取りのノルベルトにウジクイのカールヘンが持ちかけたのは、「ドウゾウ」になることだった。寓意とユーモアにあふれた物語をシュリューターの美しい絵で楽しもう。
●種をまく人
ポール = フライシュマン 片岡しのぶ:訳(あすなろ書房)
アメリカの工業都市、クリーヴランドのスラムにアパートに囲まれてゴミの山になった空き地があった。発端はベトナム人の少女が凍った土にマメを植えたこと。やがて人種や言語、世代の違いを超えて人々が空き地を耕しだし、空き地は菜園へと変わっていく。
●キッチン
吉本ばなな(角川文庫・新潮文庫)
肉親を亡くしひとりなったみかげは、雄一と、実は男であるその母親の家に「拾われた」(キッチン)。キッチンの続編「満月」のほか「ムーンライト・シャドウ」を収録。大切な人を失った海の底のようなしんとした日々から回復していく人々を描く3つの物語。
●西の魔女が死んだ  
梨木香歩(新潮文庫・小学館)
「魔女」、まいのおばあちゃんが死んだ。おばあちゃんの家に駆けつける車中、まいの胸に去来するのは二年前の日々のこと。おばあちゃんと暮らし、語り合い、さまざまなことを学んだ日々。少女の心の動きを丹念に追う物語は、やがて感動のラストシーンに到達する。
●光草-ストラリスコ
ロベルト=ピウミーニ 長野徹:訳(小峰書店)
病気で外出できない息子マドゥレールのため、太守は画家サクマットを屋敷に招いた。画家は少年の部屋の壁に絵を描き始める。山・平原・町・海・海賊船。やがて少年の豊かな想像力と画家の技量とが光草に結実する。言葉が、絵画となって浮かび上がる美しい物語。

言葉がひろがる詩歌とエッセイの本

●木坂涼詩集 
木坂涼(思潮社)
「水からあがった順に/あひるが/おしりを振る」「三日月が/頭からうしろへ/たおれそうなくらい/傾いている」みずみずしい感性がとらえた言葉。
絵画のようにくりひろげられる的確な描写。そしてユーモア。はっとする一行にきっと出会える詩集。
●はだか
谷川俊太郎(筑摩書房)
「うそでしかいえないほんとのことがある」(うそ) 「おじいちゃんおじいちゃんおしえて/むかしのことじゃなくていまのきもち」(おじいちゃん)。全編子供の視点から書かれたひらがなだけの詩。どこか懐かしく、なまなましく、そして寂しい詩が心を打つ。
●太陽のうた-小野十三郎少年詩集-
小野十三郎(理論社)
「平和は小さな小さなところにあればあるほど/明るくまぶしい」 「きみは山頂よりも上に/青い大きな弧をえがく/水平線を見たことがあるか。」働く人たち、大阪、平和、世界が違って見える瞬間、などを簡潔な言葉で力強く歌う詩集。  
●旅をする木
星野道夫(文春文庫・文芸春秋)
「多くの選択があったはずなのに、どうして自分は今ここにいるのか。」アラスカに魅せられてその地に渡り、写真家になった著者がつづる、極北に生きる動物、植物、さまざまな人の暮らし。
圧倒的な自然の中での経験が熟し、静かな言葉となって実った随筆集。
●小さな博物誌
河合雅雄(ちくまプリマーブックス59:筑摩書房)
鯉の誘惑。決死のすもも取り。花にとまる虫にうっとりし、いたずらの「決行」に酔う。相棒はいつも知恵者の弟、ミト。山野を駆け回った少年時代から、動物学者となった現在までに 著者が出会ったさまざまな動・植物について書いた小さな博物誌。

多様な角度から現代社会を考える本

●ぼくが世の中に学んだこと
鎌田慧(岩波現代文庫)
上京して働いた町工場での経験。印刷工として出会った事件。 記者として勤めた業界紙。雑誌編集者の仕事。 実際に自動車工場の季節労働者となって書いた『自動車絶望工場』。 ルポライターが半生を振り返り、どのように世の中を見る目を培ったかをつづる。
●青い緑の星-21世紀を生きる人のために-
桃井和馬:文・写真(講談社)
猛烈な勢いで伐採される森林。工業化。砂漠化。核に汚染された大地。テロと戦争。そして貧困。気鋭のフォトジャーナリストが世界40か国を見つめて撮った地球の「今」がここにある。 ひとつひとつの写真が訴えることをあなたはどのように受けとめるか。
●ものづくりに生きる
小関智弘(岩波ジュニア新書)
日本の産業を支えてきたのは、町工場に生きる人々の技術と日々の工夫の蓄積だった。ネジ一本にも最先端のハイテク部品にも工夫と知恵とこつこつ働く人々の汗がしみている。 町工場の町、東京大田区を中心に“旋盤工・作家”が心を込めて記す、ものづくりの世界。
●車イスから見た街
村田稔(岩波ジュニア新書)
「私のからだの状態が変わらなくても、私をとりまく社会の環境が変われば、私にもいままでできなかったことができるようになる。」
車イスの弁護士として活躍する著者が、子供のころの経験や現在の日常生活について、多くの写真を交え、わかりやすく語りかける。
●点字で書いたラブレター-目の見えない人を理解する物語-
羽田香織:作 こどもくらぶ:編(同友館)
盲学校に通う中学生、岡村花枝は、ひょんなことで羽田慎吾と出会う。 二人はそれから言葉を交わすようになり、花枝は慎吾に淡い好意を抱くが…。 全盲の中学2年生羽田香織さんが点字で書いた遺作。点字や目の見えない人を理解するための解説も併せて読める。

歴史を探究する本

●原爆の軌跡-過去と未来への旅-The Road from Trinity
ポール = サフォー 小平尚典:写真 日暮雅通:訳(小学館文庫)
世界初の原爆実験が行われたその現場、トリニティ。そして広島・長崎。当初の爆撃予定地であった小倉を経て、再び原爆を生み出したロスアラモスへ。アメリカ人ジャーナリストと日本人写真家による二つの国をたどるフォトエッセイ。必読の一冊。
●ひとが生まれる-五人の日本人の肖像- 
鶴見俊輔(ちくま文庫)
鎖国の時代、漂流民としてアメリカを知った中浜万次郎。公害に抵抗した田中正造。無籍者として生きた金子ふみ子。 時代の主流から「はみだした」五人の日本人の生涯をたどることで江戸末期から 第二次世界大戦までの日本の姿が立ち現れる。

知的好奇心を刺激する本

●子どものための哲学対話-人間は遊ぶために生きている!-
永井均(講談社)
人間はなんのために生きているのか? 言葉の意味はだれが決める?  なぜ勉強しなくちゃいけないのか?  地球は丸くない!  いろいろな問題についての「僕」と変な猫「ペネトレ」の対話の記録。 ものごとを考えるヒントをくれるやさしい哲学入門。
●図書館であそぼう-知的発見のすすめ-
辻由美(講談社現代新書)
花の名を探る奮闘は、はるばるパリまで! 
情報の海に溺れず、ねばり強さと判断力・推理力を駆使し、こつこつ足でかせぐ。「調べもの」とはまるで探偵小説のようにスリリング。 翻訳を手がける著者が、実体験を踏まえて教えてくれる、図書館を最大限に活用する方法。