フィボナッチ数とは?

フィボナッチ数というのは,

  1,1,2,3,5,8,13,21,34,55…

となる数です。これらの数は,初めに1,1をおいて,最後の数とその前の数をたした数を次の数としています。

  1,1
  1+1=2
  2+1=3
  3+2=5
  5+3=8

これはイタリアのレオナルド・フィボナッチという人が考えた数です。

 

レオナルド・フィボナッチ(1170〜1250)

フィボナッチは,北イタリアの商業都市ピサに商人の子として生まれました。小さいときから算板(計算をするための板。現代のそろばんのようなもの)を学び,インドの計算法の勉強もしていました。また,エジプトやシリア,ギリシアなどを旅してアラビアの計算法の知識を身につけました。1200年頃にはピサに帰り,商人の仕事を続けながら,数学の研究にいそしみ,数多くの本にまとめました。その中で有名なのが『算板の書』です。彼はレオナルド・ダ・ピサ(ピサのレオナルド)という本名があるのですが,愛称としてフィボナッチと呼ばれていました。

ではなぜ,このフィボナッチ数が生まれたのでしょうか。それは,フィボナッチが書いた『算板の書』という本にある【ウサギの問題】を考えたからです。

【ウサギの問題】
生まれたばかりの1つがいのウサギは,2か月目から毎月1つがいのウサギを産むことにする。すべてのウサギがこの規則にしたがい,死ぬことはないとするとき,1つがいのウサギは1年後に何つがいになっているだろうか。

この問題で毎月のウサギのつがいの数がフィボナッチ数になります。どうしてそうなるのか,考えてみましょう。

まず,1か月目には1つがいのウサギ@がいます。
2か月目も,まだ次を産まないので1つがいです。
3か月目,生まれてから2か月がたったので,ウサギ@は1つがいのウサギAを産みます。したがって,2つがいのウサギ@Aになります。
4か月目,ウサギ@がまた1つがい産みます。これがウサギBとなり,合計3つがいになります。
5か月目,ウサギ@ウサギCを産み,ウサギAウサギDを産みます。ウサギBはまだ産みません。よって,合計5つがいになります。
6か月目,ウサギ@Bが1つがいずつ産むので,合計8つがいになります。

さて,これを数字だけで表すと,

  1か月目 1
  2か月目 1
  3か月目 1+1=2
  4か月目 2+1=3
  5か月目 3+2=5
    ・
    ・
    ・
  12か月目 144+89=233

つまり,答は233つがいということになります。これが12番目のフィボナッチ数になっています。
また,このフィボナッチ数にはいろいろな特徴があります。
まず,フィボナッチ数を一辺とする正方形を考えてみましょう。

これらを組み合わせて長方形を作ってみると,

上のような5×8の長方形になります。このとき,8というのは5の次に来るフィボナッチ数でした。つまり,

   

という式が成り立つことがわかります。もっと数が大きくなっても成り立つことがわかります。例えば次の式

   

も成り立っています。つまり,フィボナッチ数を順に2乗してたしていくと,最後のフィボナッチ数とその次のフィボナッチ数をかけたものになります。

次にフィボナッチ数を順にたしてみます。

   1+1+2+3=7
   1+1+2+3+5+8+13+21=54

このとき,7は8−1,54は55−1となっています。8も55もフィボナッチ数です。つまり,フィボナッチ数を順にたしていくと,最後のフィボナッチ数の次の次のフィボナッチ数から1をひいた数になることがわかります。

では,次のことを考えてみましょう。
1)奇数番目をたしたらどうなるでしょう? → 答はこちら
2)偶数番目をたしたらどうなるでしょう? → 答はこちら

このようにフィボナッチ数にはいろいろな性質があるほか,自然界にもよく見られることが知られています。

他にもどんな性質が隠れているか探してみよう。 → 答はこちら

自然界に現れるフィボナッチ数の有名なもので,例えば松ぼっくりやひまわりなどがあります。

上の写真,図は上村文隆さんのホームページ
「はまぐりの数学」http://www.rd.mmtr.or.jp/~bunryu/)よりお借りいたしました

松ぼっくりは裏側から見ると,左巻きと右巻きのうずが見られます。それぞれのうずの本数を調べると,これがフィボナッチ数になっているのです。また,ひまわりも同じように,種の部分が左巻きと右巻きのうずになっていて,それらの本数もまた,フィボナッチ数になっています。
また,フィボナッチ数はピラミッドの中にも潜んでいます。ピラミッドには様々ななぞがありますが,これもまたピラミッドがつくりだしたなぞの一つかも知れません。
このピラミッドの中のフィボナッチ数を調べる前に,まずキュービットという長さの単位を知らなくてはなりません。一般的に,キュービットとは,ひじから手の指先までの長さを1キュービットと決めていました。人によって長さが違うのですが,エジプトでは1キュービット=52.4cmだったというのがよく知られています。このキュービットを使ってピラミッドを調べてみましょう。
まず,一辺が1キュービットの正方形の周の長さは,

   52.4p×4=209.6p=2.096m

となります。クフ王のピラミッドの寸法図は,下図を参考にします。

このとき,網がかけられた直角三角形の底辺と斜辺の長さを表す115.2mと186.5mを2.096mで割ってみると,

  

のようになり,これがフィボナッチ数の10番目と11番目の数になっているのです。これは偶然とはとても考えられない結果になっています。
このことから,フィボナッチ数は1202年にフィボナッチが書いた本『算板の書』で初めて紹介されたとされていますが,もしかすると古代エジプト時代の誰かがフィボナッチ数を知っていたのではないか,とも思われます。

他にも自然の中のフィボナッチ数を探してみましょう。


フィボナッチ数と連分数

ある連分数を考えてみましょう。次の連分数は無限に続くものとします。

     

では,この連分数の数が少ないときを考えてみましょう。 をn番目の連分数とします。

同じように続けていくと,次のようになります。

  

ここまで見れば気づいた人もいるかも知れませんが,分母,分子ともにフィボナッチ数になっています。
さて,この連分数の結果を小数で表すとどのような数になっているかを見てみましょう。

と続きます。これを見ていると,この連分数の値がしだいにある値に近づいていくことがわかります。じつはこれは黄金比という値の逆数に近づいているのです。黄金比とは,2次方程式

    

の1つの解で, で表されるものです。このはこの世で一番美しい比だといわれています。この逆数は

     

で与えられます。これと,とを比較してみると,

     

なので,小数第8位までが一致しています。フィボナッチ数は連分数だけでなく,黄金比とも関わりがある,不思議な数だといえるでしょう。

 

奇数番目をたしたときの解答

フィボナッチ数は

     1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,…

なので,奇数番目をたすということは,

     1+2+5+13+…

を考えることです。

     1+2=3
     1+2+5=8
     1+2+5+13=21

これを見ると,法則性が見えてきます。実は,フィボナッチ数の奇数番目をたしていくと,最後にたしたフィボナッチ数の次のフィボナッチ数が答として現れるのです。

 

偶数番目をたしたときの解答

フィボナッチ数は

     1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,…

なので,偶数番目をたすということは,

     1+3+8+21+…

を考えることです。

     1+3=4
     1+3+8=12
     1+3+8+21=33

これを見ると,法則性が見えてきます。実は,フィボナッチ数の偶数番目をたしていくと,最後にたしたフィボナッチ数の次のフィボナッチ数から1をひいた数が答として現れるのです。

 

フィボナッチ数の性質

フィボナッチ数には次のような性質があることが知られています。

(1) フィボナッチ数を順にたしていくと,最後のフィボナッチ数の次の次のフィボナッチ数から1をひいた数になる。

(2) 奇数番目をたしていくと,最後にたしたフィボナッチ数の次のフィボナッチ数になる。

(3) 偶数番目をたしていくと,最後にたしたフィボナッチ数の次のフィボナッチ数から1をひいた数になる。

(4) フィボナッチ数の2乗を順にたしていくと最後にたしたフィボナッチ数とその次のフィボナッチ数をかけたものになる。

(5) n番目のフィボナッチ数の2乗と(n+1)番目のフィボナッチ数の2乗をたすと,(2n+1)番目のフィボナッチ数になる。

(6) (n+1)番目のフィボナッチ数の2乗から(n-1)番目のフィボナッチ数の2乗をひくと,2n番目のフィボナッチ数になる。

(7) (n+1)番目のフィボナッチ数の3乗とn番目のフィボナッチ数の3乗をたして,そこから(n-1)番目のフィボナッチ数の3乗をひくと,3n番目のフィボナッチ数になる。

(8) n番目のフィボナッチ数と(n+1)番目のフィボナッチ数をかけたものから,(n-1)番目のフィボナッチ数とn番目のフィボナッチ数をかけたものをひくと,n番目のフィボナッチ数を2乗した数になる。

(9) (n-1)番目のフィボナッチ数と(n+1)番目のフィボナッチ数をかけたものから,n番目のフィボナッチ数の2乗をひくと,(-1)のn乗になる。

(10) m番目のフィボナッチ数と(n+1)番目のフィボナッチ数をかけたものと,(m-1)番目のフィボナッチ数とn番目のフィボナッチ数をかけたものをたすと,(m+n)番目のフィボナッチ数になる。

(11) (1番目のフィボナッチ数)×(2番目のフィボナッチ数)+(2番目のフィボナッチ数)×(3番目のフィボナッチ数)+(3番目のフィボナッチ数)×(4番目のフィボナッチ数)+…+(2n-1番目のフィボナッチ数)×(2n番目(偶数番目)のフィボナッチ数)は最後のフィボナッチ数の2乗になる。

(12) (1番目のフィボナッチ数)×(2番目のフィボナッチ数)+(2番目のフィボナッチ数)×(3番目のフィボナッチ数)+(3番目のフィボナッチ数)×(4番目のフィボナッチ数)+…+(2n番目のフィボナッチ数)×(2n+1番目(奇数番目)のフィボナッチ数)は最後のフィボナッチ数の2乗から1をひいた数になる。

(13) n番目のフィボナッチ数はで与えられる。

下の表はフィボナッチ数の30番目までの表です。本当に上の法則が成り立つか調べてみよう。

1番目  1
2番目  1
3番目  2
4番目  3
5番目  5
6番目  8
7番目  13
8番目  21
9番目  34
10番目  55
11番目  89
11番目  89
12番目 144
13番目 233
14番目 377
15番目 610
16番目 987
17番目 1597
18番目 2584
19番目 4181
20番目 6765
21番目 10946
22番目 17711
23番目 28657
24番目 46368
25番目 75025
26番目 121393
27番目 196418
28番目 317811
29番目 514229
30番目 832040